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宇宙の膨張[編集]
現在、宇宙は膨張をしている、と見なされている。だが、20世紀初頭、人々は宇宙は静的で定常であると見なしていた。
1915年に
アルベルト・アインシュタインが
一般相対性理論を発表し、そこには
エネルギーと
時空の曲率の間の関係を記述する重力場方程式(
アインシュタイン方程式)があった。これを受けて、「宇宙は一様・等方である」とする
宇宙原理を満たすようなアインシュタイン方程式の解が、アインシュタイン自身や
ウィレム・ド・ジッター、
アレクサンドル・フリードマン、
ジョルジュ・ルメートルらによって導かれたが、これらの解はいずれも、時間とともに宇宙が膨張または収縮することを示していた。
当初、アインシュタインは宇宙は定常であると考えていたため、自分が見つけた解に定数(
宇宙定数)を加えることで宇宙が定常になるように式に手直しを加えた。だが後にこの考え方を撤回した。
1929年に
エドウィン・ハッブルが遠方の銀河の後退速度を観測し、距離が遠い銀河ほど大きな速度で地球から遠ざかっていることを発見した(
ハッブルの法則)。つまり、ハッブルによって実際に宇宙の膨張が
観測され、それにより《膨張する宇宙》という概念が定着したのである。
膨張の中心[編集]
無数の銀河がほぼ一様に分布していて、その距離に比例した速度で遠ざかっているように見えるが、これはわれわれ太陽系が宇宙の中心だからではなく、たとえいずれの銀河から見たとしても、これと同様に見える、という。それは、すべての天体を含む宇宙全体が膨張しているからである、と考えられている(膨張宇宙論)。「
宇宙原理を採用すれば、宇宙には果てがない」と言う。よってこれを信じれば、宇宙膨張の中心は存在しない。銀河の後退速度が
光速に等しくなる距離は、宇宙論的固有距離において地球から約150億光年のところとなる。宇宙年齢に光速をかけた距離とこの距離が近似するのは偶然である}。ここまでの距離はハッブル距離、あるいはハッブル半径と呼ばれるが、これは宇宙の地平面(宇宙の事象の地平面、あるいは粒子的地平面)ではない。光速を超えて遠ざかる天体は赤方偏移Z=1.6程度の天体と考えられるが、この値を超える天体はすでに1000個程度観測されている。